2014年6月11日水曜日

「クラウド」「ビッグデータ」という言葉の罪

昨日に引き続き、書籍「ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国」より、気になった部分に関して。第3章『「言葉のインフレ」は恐ろしい』の中で、キーワードとして「Web2.0」「クラウド」「ビッグデータ」が出てきます。ITの世界に少しでも関わりを持つ人なら必ず聴いたことのある言葉だと思いますが、どれも明確な定義のないまま言葉だけが独り歩きしているという点では共通しています。

僕がIT業界に入った時には「Web2.0」は既に死語になりつつあった気がしますが、「クラウド」は流行り始めた頃でした。当時からこの「クラウド」という言葉が氾濫し、なんでもかんでも「クラウド」とつけりゃいいと思ってんじゃないかと疑いたくなるほど節操なしに使われるのを、物凄い違和感とともに見てました。

昔からあったものと結局中身は同じだという本書の指摘は僕だけでなく多くのIT関係者(特に技術者・エンジニア)には共感できるものだと思います。正直、言葉は悪いですが、クラウドクラウドと浮かれている連中はバカなんじゃないかと呆れている、というのが本音のところでしょう。「クラウド」という言葉をグーグルの社員は軽蔑している、という話が出てくるのですが、全く驚くような話ではなく、「やっぱりそうか」と納得したというのが素直な印象です。

最近ではまた性懲りもなく「ビッグデータ」という新たな言葉が氾濫してますが、結構うんざりしてます。残念なことは、そういう曖昧な言葉を喧伝する連中が業界内部にいて、商売目的に使ってるってことです。もっと露骨な表現をするなら、ITの知識が無い顧客をうまいこと騙して、さも全く新しい製品であると見せかけてカネを搾り取りカモにする都合のいい道具として、「クラウド」とか「ビッグデータ」とかいう曖昧な言葉を使っている、と言っても過言ではないと思います。僕の目にはほとんど詐欺に見えます。

それでも一度広まってしまった言葉は使わざるを得ない、と本書でも述べられてますが、だったら最初に広めるのが悪いわけでしてね。結局IT業界が曖昧な言葉を使えば稼げるという経験に味をしめているように思えて仕方ありません。

もっと技術に対して、あるいは顧客に対して誠実であるべきだと思うのは僕だけではないんじゃないでしょうか。

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